2026年度の再エネ賦課金はどうなる?市場ベースで読み解く予測と現実
2026年度の再エネ賦課金がいくらになるのか。
家庭の電気料金にも直結するだけに、関心を寄せる人は年々増えています。
本記事では、国による補助金や特別措置といった「政治的な調整」はすべて除外し、純粋に市場価格(JEPX)とFIT制度の構造に基づいた実務的な試算を行いました。
結論として、最も現実的な2026年度の賦課金単価は4円10銭前後と見込まれます。
さらに、為替や燃料価格の変動が意外にも賦課金を下げる方向に働く可能性や、制度的に続く高コスト構造についても、幅広い視点で解説しています。
電力会社や自治体の計画立案、家庭の電気料金予測に役立つ内容として、制度のしくみと市場の動きの両面から読み解いていきます。
再エネ賦課金とは?制度の基本構造
電気代の明細書に毎月含まれている「再エネ賦課金」。
これは、再生可能エネルギーの導入を支えるために、私たち消費者が少しずつ負担している金額です。
ただの「追加料金」ではなく、制度的にしっかりと意味のある費用として仕組まれています。
なぜ賦課金が存在するのか
- 再エネ(太陽光・風力・バイオマスなど)を普及させるため、国は「固定価格での買取制度(FIT)」を導入しています。
- 電力会社がこの高額な買取価格で再エネを買い取るため、コスト差額が生じます。
- この差額分を消費者全体で分担するために設定されているのが、再エネ賦課金です。
賦課金の算出方法(2026年度想定ベース)
再エネ賦課金の単価は、以下のシンプルな数式で決まります。
再エネ賦課金単価 = FIT/FIPの買取費用総額 − 市場価値(JEPX) ÷ 販売電力量
- FITやFIPの買取費用は、主に過去に認定された高単価の案件が影響します。
- 市場価値はJEPX(日本卸電力取引所)の取引価格を反映。
- 分母となる販売電力量が減少傾向にあると、賦課金は上がりやすくなります。
2025年度の実績から見るJEPXとFITの動き
2025年度のJEPX実績
2025年度のJEPX(日本卸電力取引所)では、スポット価格が8〜11円/kWhのレンジで推移しています。
その背景には以下の要因が挙げられます。
- LNG価格の安定化
- 太陽光発電の出力増加と昼間の余剰電力
- 再エネ導入拡大によるkW過剰傾向
これらの要素から、2026年度も同水準かやや下落という予測が主流です。
FIT・FIPの買取費用動向
一方、買取コストの側面では上昇傾向が続いています。
- FIT高単価案件(40円/36円/32円)が依然として多数残存
- バイオマス発電の高単価案件も長期契約で残存
- FIPへの移行が進んでも、FITが賦課金の大部分を占めている
これにより、2026年度の賦課金の“原価”は、引き続き高水準が続く見通しです。
シナリオ別に見る2026年度の賦課金予測
JEPX価格の変動を軸に、再エネ賦課金は以下のような3つのレンジに分類できます。
ベースケース(JEPX=8〜11円/kWh)
- 予測レンジ:4.3〜4.9円/kWh
構造要因:
- FIT費用が2025年度より積み上がる
- JEPXとFIT基準価格の差が拡大
- 電力販売量が微減し、単価が上振れやすい
上振れケース(JEPX=7〜9円/kWh)
- 予測レンジ:4.9〜5.5円/kWh
要因:
- 太陽光の昼間余剰が進行
- LNG価格の低下で火力コストも下落
- 市場価格が下落し、差額が拡大することで賦課金が上昇
下振れケース(JEPX=11〜13円/kWh)
- 予測レンジ:3.99〜4.4円/kWh
注意点:
- JEPXが上がっても、FIT基準との差は依然大きく、賦課金が大きく下がることは難しい
- 分母の縮小(省エネなど)も影響し、下げ幅は限定的
為替・燃料価格が再エネ賦課金に与える意外な影響
再エネ賦課金は、燃料価格や為替とは逆方向に動きます。
逆相関の構造
- 円安 → LNGや石炭などの燃料価格が上昇
- 火力の限界費用が上がる → JEPXが上昇
- 回避可能費用が増える → 賦課金は下がる方向へ
これは直感に反しやすいため、理解が難しいポイントでもあります。
市場の織り込みとその限界
2026年度のJEPX想定値(13円/kWh)は、すでに燃料価格上昇・円安をある程度織り込んでいます。
しかし、以下のケースではさらなる上昇もあり得ます。
- LNG価格がさらに高騰(+30%)
- 為替が160円台に突入
- 石炭価格の底打ち
- 国内需要の増加(データセンター・EVなど)
→ JEPXが14.5〜15円/kWhまで上昇した場合、賦課金は3.3〜3.6円/kWhにまで下がる可能性
最終的なレンジ評価と筆者の予測
シナリオ別:2026年度 賦課金の見通し
| シナリオ | 条件 | 賦課金予測 |
|---|---|---|
| 燃料・為替ふつう(先物ベース) | JEPX=13円、円安150円台、燃料高安定 | 4.0〜4.1円/kWh |
| 燃料・為替がさらに悪化 | JEPX=14.5〜15円、円安160円台、LNG上昇 | 3.3〜3.6円/kWh |
| 燃料・為替が好転 | JEPX=11〜12円、円高140円台、燃料安 | 4.2〜4.4円/kWh |
筆者の予測レンジ(結論)
- 再エネ賦課金の最も合理的な見通しは、4円10銭前後(±0.1円)
この数値は、政策要素を排除した純粋な市場ベースでの予測であり、実務的な前提値として活用できます。
中長期的に続く再エネ賦課金の上昇圧力とは
FIT償還構造が示す「絶対的な上昇要因」
- 太陽光の40円/36円/32円案件が2030年ごろまで残存
- バイオマス案件は高単価で長期買取が多い
- JEPX市場価格とFIT基準の価格差が10〜25円ある構造
- 電力販売量が減少傾向にあり、賦課金は上がりやすい
FIP制度が進展しても、当面はFITの残存容量が原価構造を支配します。
まとめ:賦課金は「逆相関」と「制度の重み」を見抜けるかが鍵
2026年度の再エネ賦課金について、政治的な調整を除外し、市場と制度構造のみを根拠とした分析を行いました。
その結果、為替や燃料価格の動きによって賦課金は「上がる」と単純に考えるのではなく、市場価格との逆相関構造を理解することが重要だとわかります。
本記事の要点
- 賦課金は「FIT買取費用 − JEPX市場価値」によって決まる
- 為替安や燃料高 → JEPX上昇 → 賦課金は下がる方向へ
- 為替高や燃料安 → JEPX下落 → 賦課金は上昇しやすい
- 高単価FIT案件が2030年代まで残存しており、構造的な負担は継続
- 最も合理的な2026年の中央値は 4.1円/kWh前後
賦課金の変動を予測するには、政治判断だけでなく、市場価格や制度的背景をセットで捉える視点が欠かせません。
今後の電気料金見通しを立てるうえで、単なる上げ下げの話ではなく、構造的な仕組みと逆相関の関係をしっかり押さえておくことが、家庭にも企業にも求められています。
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